転移性乳がんの治療(コラム)|南雲吉則医師が詳しく解説|ナグモクリニック 東京・名古屋・大阪・福岡

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乳がん・乳房再建コラム(転移性乳がんの治療)

遠隔転移したときの補助療法

著者:ナグモクリニック東京 総院長・理事長 南雲 吉則

春になると畑には野菜の芽だけでなく、雑草もたくさん生えます。そこで種まきの前に除草剤をまきます。といってもどんな雑草が生えてくるかわからないですよね。いろいろな雑草に効くように、何種類かの除草剤をまとめてまきます。ただし長期間まいていると野菜自体が弱ってしまうので、短期集中で、そのかわり量を多くまきます。

乳がんの術後、予防のために抗がん剤を使うときも、どの抗がん剤が効くのかわかりませんから、「多剤併用(いくつかの薬を併用する)、短期集中、大量投与」します。髪の毛はばっさり抜けますが治療は半年で終了します。

しかし今回は遠隔転移です。遠隔転移というのはがんが血液やリンパを通って全身に広がったことをいいます。がんは血液中に存在しますので、X線に写った部分だけを取ってもなくなりません。いったんがんがなくなったように見えても、それは根治とは呼ばず、「寬解」といいます。必ず身体のどこかにひそんでいるからです。つまり「遺隔転移は根治できない」ので、おとなしくさせて共生することがコツなのです。

今まで主治医に励まされて根治をめざしてきたのに、今度は根治はできないといわれても受け入れがたい話かもしれません。しかし考えてみてください。糖尿病や高血圧、腎不全、リウマチなど根治できず、一生つき合っていかなければならない病気はたくさんあります。遠隔転移もそうした慢性病のひとつなのです。

治療の目的は根治ではなくなり、緩和、つまり症状を和らげ、がんをおとなしくさせることですので、今回の原則は「単剤使用、長期(生涯)、少量投与」です。

単剤
一度にいくつもの薬を使ってがんが小さくなったとすると、どれが効いたのかわからず、どれもやめることができなくなってしまいます。そこで効きそうなものから使って効かなければ次の薬に変えます。
生涯使う
遠隔転移は根治できないのですから生涯のつきあいです。
少量
一生使う薬で身体を壊しては意味がありません。副作用が少ないものを副作用が出ないくらいの量で使います。

具体的にはホルモン受容体陽性ならホルモン療法、HER2陽性ならハーセプチンだけの点滴を3週に1回です。

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