乳がん治療・乳房再建


乳がんに関する検診から治療、乳房再建まで乳腺外科
ナグモクリニック総院長 南雲医師が、詳しく解説。
ナグモクリニック総院長 南雲吉則
ナグモクリニック 総院長 南雲 吉則
(なぐも よしのり)
医学博士。日本乳癌学会認定「乳腺専門医」
昭和56年3月 東京慈恵会医科大学卒業。
東京女子医科大学形成外科研修、
癌研究会付属病院外科勤務、
東京慈恵会医科大学第一外科 乳腺外来医長を歴任。
平成2年医療法人社団ナグモ会 ナグモクリニック開設。
現在/同会理事長・ナグモクリニック総院長。
東京慈恵会医科大学外科学講座非常勤講師、
近畿大学医学部形成外科非常勤講師、
韓国東亜医科大学客員教授、中国大連医科大学客員教授。
乳がん関連著書多数。
ナグモクリニックは「東京・名古屋・大阪・福岡」に各院
を開設しています。ナグモクリニックHP>>


◆ナグモクリニック 総院長の南雲医師は、健康・乳がん関連などのセミナー、
講演に積極的に出演、参加しています。
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2020.04.24



はじめに

「メッセージ:乳がんと診断された方へ」

乳がんと診断されて、さぞ驚かれたことでしょう。
あたまが真っ白になって主治医がなにを話しているのかほとんどわからなくて、ただ手術の予約だけをして帰り道どこをどう歩いたのかもよくおぼえていなくて、自宅でふとわれにかえったとき不安と孤独感でとめどなく涙がこぼれたのではないでしょうか。

いままで病気らしい病気をしたこともないのに、親戚にも乳がんはいないのに自分の生活のどこがいけなかったのか。
よりによってなぜ自分が乳がんになったのか。つぎからつぎへと疑問が渦巻いては、それにたいする答えが見つからずにいらだっているのではないでしょうか。

がんはあなたを不幸の淵に落とし入れて、あなたはひとりその淵の中でもがいています。
これから進むべき道は手術であり抗がん剤であろうことは、ぼんやりとわかってはいるものの一寸先は真っ暗闇。
闇の世界にどんな得体の知れない敵が潜んでいるのやら、想像するだけでもおそろしく二の足を踏んでいるのではないでしょうか

でも耳を澄ましてください。
ほらききおぼえのあるひとの声が聞こえます。
あなたにやさしく話しかけています。
「いつもそばにいるよ。そして力になるよ」
勇気を持って目を開いてください。
家族がいます、パートナーがいます。友人がいます。主治医もいます。看護師もいます。患者会の人たちがいますみんながあなたに微笑みながら語りかけています
「いつもそばにいるよ。そして力になるよ」

ひとりでなれない夜道を歩くのはこわいです。でもだれかといっしょならこわくない。
それが信頼できるひとなら。その道のことをよくわかっているひとなら。
あなたの手をとってくれます。あなたのこれから進む道のともしびとなってくれます。
あなたにはもうゴールが見えるはずです。
そしてつぶやきます「乳がんなんてこわくない」

もしこのホームページを読んでもわからないことがあれば、私に連絡をしてください。
医師としてあなたの友人としておこたえします「いつもあなたのそばにいるよ そして力になるよ」

乳がん・乳房再建コラム

著者:ナグモクリニック東京 総院長・理事長 南雲 吉則

がんの三大原因

毎年、火災によって多くの人が住む家を失い、尊い命を失っています。火災報知機が どんなに「早期発見」をしても、最新の消火システムで「早期消火」をしても、火災の件数も失われる人命の数も減らないのです。それを減らすためには、火の不始末を滅らして「火災予防」に努めることが大切なのです。

同じことが、がんの医療においてもいえます。
どんなにがんを「早期発見」「早期治療」しても、がんになる方の数やがんで亡くなる方の数を減らすことはできないのです。それを減らすためには、がんの原因を減らして「発がん予防」に努めることが大切なのです。
そこで、がんの三大原因についてお話ししましょう。

第一はタバコです。咽頭・喉頭がん(のどのがん)の90%、肺がんの75% 、食道がんの50% 、胃がんの25% はタバコをやめればなくなります。煙を吸ってのどや肺のがんになるのはわかりますが、煙を飲み込んでいるわけではないのにどうして食道や胃のがんになるのでしょう。それはタバコを吸いながら酒を飲んだりつまみを食べたりするからです。タバコの有毒物質が胃腸まで流れ込んで、がんを起こすのです。

第二は感染症です。子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)、肝臓がんはB型・C型肝炎ウイルス、胃がんはピロリ菌といった感染症によって生じます。感染による炎症は周囲の細胞分裂を盛んにして、がんを誘発します。

第三は欧米化した食生活です。精製した糖質や悪い油は体を傷つけます。傷ついた体を修復するために、細胞の構成成分であるコレステロールがつくられます。コレステロールは性ホルモンにも変化しますので、性ホルモンで成長する女性の乳がん・子宮体がん・卵巣がん、男性の前立腺がんを増加させます。

また脂肪の蓄積による脂肪肝は肝臓がんを、脂肪を消化するための胆汁酸の増加は大腸がんを増加させます。
つまり生活習慣を改善しないかぎりがんはなくなりませんし、いくら治療しても再発するのです。
そこで、こうした原因によってなぜがんになるのか一緒に考えてみましょう。

著者:ナグモクリニック東京 総院長・理事長 南雲 吉則

細胞

私たちの身体はさまざまな「臓器」からできています。心臓、肝臓、腎職⋯⋯。臟器は「組織」からできています。そして組織は「細胞」からできています。
細胞は、私たちの身体を構成する最小単位で、しかも最大限の大きさです。

何をいっているのかと思うでしょうが、細胞は小さすぎても大きすぎても都合が悪いのです。

車やコンピュータを作るときに部品の数が多すぎたら調達も大変ですし、組み立ても大変です。同じ機能なら、最も少ない数の部品ででき上がったほうが効率的です。
われわれの身体が単細胞(1つの細胞)でできていたら複製(コピー)も簡単ですね。
1回の細胞分裂で2人の人間ができるのですから。しかしそんな大きな細胞は成り立ちません。栄養が行き渡らないからです。

細胞の中は「細胞質」というゼリーでできています。細胞質には心臓も血管もありませんので、すみずみまで栄養を行き渡らせるには、ゼリーの中をしみ渡っていかなければなりません。
栄養が確実にすみずみまでしみ渡る最大の大きさが10ミクロン(0.01mm)。これより大きいと栄養が行き渡りませんし、これより小さいと身体をつくるのにたくさんの細胞を用意しなければなりません。
ですから細胞の大きさは、どの臓器でも10ミクロンです。肝臓は大きいから小さい膵臓より細胞が大きい、なんてことはないのです。
それどころか、動物の種によって細胞の大きさが異なることもありません。 地球上の生物はすべて共通の祖先から進化したのですから、細胞の大きさも共通です。ネズミの細胞は小さく、ゾウの細胞は大きい、なんてことはないのです。

10ミクロンがいちばん理想的なのですから、すべての臓器もすべての動物も同じ10ミクロンの大きさの細胞によってできています。身体の大きさが異なるのは細胞の数が異なるからです。

がん細胞も10ミクロンです。これより大きいと栄養が行き渡らずに、がん細胞は死滅してしまうからです。